夜間大学生あべのブログ

日記・考えたこと・旅・研究・読んだ本について書きます

//

福井恐竜博物館など【2018春休み一人旅】

概要

旅行日程:2018年2月1日(木)~4日(日)【3泊4日】
訪問都道府県:大阪、福井、岐阜(1府2県)
通過都道府県:山口、広島、岡山、兵庫、大阪、京都、滋賀、福井、岐阜(2府7県)
使用交通機関:高速バス、JR(特急サンダーバード東海道・山陽新幹線を含む)、えちぜん鉄道勝山永平寺線

はじめに

大学生になってから一人旅をしていないことに気づいた春休みのある日、アルバイトを1週間休んで旅に出ることにした。
行き先は、幼少期からずっと行きたかった福井県立恐竜博物館を主な目的地にして、岐阜の親戚の家にも遊びに行った。

1日目

出発

福岡から福井に行こうとするとき、直通の交通機関は存在しない。陸路なら関西、あるいは空路ならば石川県の小松空港を経由して福井入りすることになる。あいにく、飛行機に乗れるような持ち合わせはないので陸路を選ぶ。しかも、深夜バス。金欠大学生の旅行には、4列並んだあの固いシートがよく似合う。

博多駅のすぐ近くに高速バスの待合室がある。カフェに併設されたおしゃれな空間で、スマホの充電用コンセントも完備してある親切さ。昼間のうちは軽食やコーヒーの注文もできるらしい。とはいえカウンター、テーブルともに席の間隔は狭く、これから始まる窮屈な旅をすぐに思いださせる。
バスに乗車したのは深夜11時。終点の京都まで、約10時間の長旅である。幸いなことにアイマスクを準備しておいたおかげで、すぐに眠りに落ちることができた。

2日目

起床

さすが福岡‐京都間、片道4500円の安さ。
肩が痛い。ついでに腰も足も痛い。密室の閉そく感と、バスの走っていく重低音で安眠からはとても程遠い。
だが、それでいい。大学生たるもの、金銭の代わりに与えられている潤沢な時間と体力という資産を有効活用しなくてどうする。
社会人が新幹線や飛行機に乗り、金の力で時間を節約するなら、学生は時間と体力でお金を節約するのだ。

兵庫、大阪の各降車場を巡った後、バスは午前9時に京都駅に到着した。

京都駅で

お腹が空いたので駅のマクドナルドで朝食をとった。
ところで、朝マックのマフィンに入っているメープルシロップの固まりが好きなんですけど誰か共感してくれる人いませんか。

京都からはJRの特急サンダーバード福井県へ行く。
発着するのが「0番ホーム」でびっくりした。

県境を越えるとそこは雪国でした

特急サンダーバード大阪駅を起点に、京都、滋賀、福井、石川と走っていく。
進行方向向かって右側の席なら、琵琶湖が見えるらしい。今回は残念ながら左側の席だった。

敦賀駅の少し前、福井県に入ったあたりから、車窓の景色が銀世界に変わった。

福岡にいると雪がこれほど積もった光景を見ることは少ない。思わず写真を友達に送った。

福井駅

福井駅は「これぞ地方中核都市の駅!」といえるような駅だった。
改札を出たロビーからは土産物売り場が続く通路が続き、駅前はバスやタクシーのロータリー。
宮崎駅も大分別府駅松山駅もこんな感じだから、全ての地方中核都市のJR駅はこんな感じなんじゃないかと思ってしまう。

えちぜん鉄道

恐竜博物館のある勝山市までは、第三セクターえちぜん鉄道勝山永平寺線に乗り換える。
構内のコンビニで、博物館の入館料とえちぜん鉄道の福井~勝山間、勝山市内バスの一日乗車券がセットになったチケットを購入した。別々に買うより、740円も安くなる。

勝山へ向かう電車は1両編成だった。地元、愛媛のJR予土線を思い出した。
ただ、予土線の汽車がほとんどワンマン運行なのに対して、えちぜん鉄道の社内には運転手のほかに2人の女性アテンダントが乗務している。
駅に止まる度にアテンダントさんが乗客に挨拶して回っていて、とても好印象だった。

あとで調べてみると、えちぜん鉄道はあわや廃線という経営危機から復活を遂げたことで有名とのこと。
鉄道はサービス業だとして、利用者の目線での運営を徹底した結果のようだ。
www.projectdesign.jp

途中で線路の除雪をする車両を見つけて、雪国だなあとしみじみと感じた。

終点の勝山駅は、予想以上に小さな駅だった。
駅舎に小さなカフェがあるのが素敵。

勝山駅から恐竜博物館までは直通のシャトルバスが出ている。

福井県立恐竜博物館

福井県勝山市にある博物館で、世界三大恐竜博物館の一つにも数えられている。*1

勝山市に広がる中生代の地層、手取層群(てどり‐そうぐん)からは恐竜の化石が多く産出し、これらの中にはフクイサウルス、フクイラプトルなど新種の恐竜として登録されているものもある。それらの化石を中心に、4万点以上の標本が展示されているらしい。


プロトケラトプスのベロキラプトルが戦っている最中に砂に埋もれてそのまま化石になった「格闘化石」のレプリカもあった。



こちらがお目当ての福井産恐竜の復元標本。



さいころから図鑑で眺めてきた展示を目の当たりにできて感動した。



こちらは、2016年に発見されたばかりの新種肉食恐竜フクイベナトル。
こいつのように、今もなお福井の土の中に眠っている恐竜がいるかもしれないと思うとワクワクする。

あとは、以前に北海道大学博物館で実物を見たニッポノサウルスのレプリカがあったりしてビックリした。



博物館は、ドーム状になっていて最上層から全体を見るとこんな感じ。

学芸員さんとお話ししたよ

さて僕が来館した日は例の大雪被害の直前で、その数日前にもかなり雪が降っていたため観光客がほとんどいなかった。
それで、時間がありそうな学芸員さんを見つけてしばらくお話しさせてもらうことができた。

『ヘスペロサウルス』という地味な展示が実は同種のタイプ標本化石だというコアな情報や、現在は否定されている学説に基づいた骨格復元をしている標本を「時代を感じさせるため」という理由であえてそのままにしているという裏話も聞けて大変興味深かった。

あと、昨年の秋に行われた発掘調査で翼竜類の足跡化石が新しく見つかったらしく、足跡の持ち主である翼竜本体の化石が出てくるかも!と語ってくださった。

竜脚類(陸凄の首長竜)の頭骨はめっちゃひしゃげやすい、みたいな恐竜オタクトークは普段できないから、めちゃくちゃ楽しかった。

一番おもしろかったのは、その方がどうやって博物館で働くようになったかという話。
大学は法学部にいて、司法試験合格を目指して勉強していたらしい。ところがひょんなことから鉱物の魅力に取りつかれて、大学院は地学分野に進んだとのこと。
その方の同僚には、恐竜に関わる仕事がしたすぎて後先考えずに県外から福井に引っ越してきたような人もいるらしい。

好きなこと見つけて、適切な努力をして、思い切った行動取れる人の前に道は開けるんだなあって感じ。
小さい頃は割と本気で古生物学者になりたかったので、大学生活の中であの時の恐竜くらい熱中できる何かを探したいですね・・・。

プテラノドンを食べたよ(?)

お腹が空いていたので博物館内のレストランに入った。

プテラノ丼セット」なるものを注文。
どんぶりは普通のから揚げ丼でした。蕎麦は、食感が普段福岡で食べるものと少し違う気がした。これが越前蕎麦なのかな・・・?

大阪で友達と飲み

恐竜博物館の展示を見終わって、福井駅に戻り高速バスで大阪まで戻った。
高校時代、競技クイズをしていた時の友達と久々に会って飯を食べ、とても楽しかった。

彼は同い年なので、もうすぐ就活。
自分たちが社会人になるなんで信じられんな、という話をした。

次の日予定があるらしいので、12時くらいに解散。
そのまま大阪のカプセルホテルに泊まった。

3日目

ここからは、単に親戚の家に遊びに行くというだけの内容なので詳しくは書かない。

大阪から在来線で岐阜へ。
親戚の家では飼い犬のヨーキーちゃんと戯れたり、近況報告をしたり、すき焼きを食わせてもらったりして時間が過ぎた。

4日目

米原まで在来線で出て、新幹線乗り継ぎで博多まで帰った。
初日に一晩中かけて移動した距離を、数時間で走り抜ける新幹線はすごいんだなあと小学生並みの感想を抱いた。

次からは、お金で時間と快適さを買うのもありだなあという感じ。

旅を終えて

京都→福井→大阪→岐阜というなんとも非効率な移動をして、ガンガン交通費をかけてしまった。
まあ、行きたい場所に行けて会いたい人に会えたので後悔はしていない。

大阪の彼とはまた飲みたいし、伯父とも将来の話ができた。
ヨーキーはかわいかったし、肉は最高にうまかった。

大学生活で忙しくしていると、なかなか自分一人の時間は取れないので今回の一人旅は良い息抜きになった。

あと、自分は博物館とか科学館とかやっぱり大好きだなって思った。
ただ、学問の表面的な部分、結果として見える部分をエンターテイメントとして楽しむのが好きなのであって、あくまで消費者として科学に触れるのが自分には向いているんだと思う。研究室にこもって実験をしつづけることも、砂漠で土にまみれて化石を掘り続けることも、英語の論文を読み漁って調べ物をするのも、たぶん僕には耐えきれない(ここらへんは完全に僕が持っている「理系の科学者」のイメージだけど)。学問的な知識の生産を専門にするのは大変そうだなあという感じ。

自分が好きなことを仕事にできるのは理想だけど、好きでたまらん仕事でなくても、こうしてたまに好きなものに触れられる生活ができれば、それもええのかなあと思ったりした。

*1:残る二つは、カナダのロイヤル・ティレル博物館と中国の自貢(じこう)恐竜博物館。