夜間大学生あべのブログ

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投票を集めたくなければこれをしろ!【人狼論文No.3】5 人人狼における村人の意思決定過程の研究(2017)

今日の論文

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5 人人狼における村人の意思決定過程の研究

2017年度日本認知科学会第34回大会
杉本 磨美,伊藤 毅志

要旨

"Werewolf" is a communication game in which players
divided into two groups advance discussion while hiding roles
and aim to survival. In this research, we used "five-players'
werewolf" as an example and examined how villagers who
don't possess special abilities make decisions, using an
experiment.
As the result, a model that is making decisions considering
"logical rationality" and "economic rationality" was led as a
hypothesis. "Logical rationality" is an act of examining the
logical contradiction of the remark by others, and "economic
rationality" is a criterion for how villagers are most likely to
win.

内容

役職として能力を持たない「村人」が、どのように投票の意思決定をしているかを調査した研究。
5人人狼(狼狂占村村)をおこなった後、村人だったプレイヤーにインタビューをする手法が取られている。

ベースとなっているのは前回紹介したこちらの論文で使用されていた、発話にタグをつけるという研究方法。
chitabea.hateblo.jp

分析から出された仮説は、

  • 村人はまず他者の発言に論理的合理性があるかを考慮する。
  • 次に、人間陣営の勝率に基づいた経済的合理性を考慮する。
  • いずれにおいても差がない場合は、共感や信頼に基づいて投票をおこなう。

というもの。

なお、村人が共感をする可能性がある行為としては、”対象を固定した処刑先の発言や自分視点の状況説明を多く行うこと”が示唆されていた。

感想

論理的な正しさと、自陣営の勝率に基づいた合理性によって意思決定がなされるのは納得。
ただし実際の議論ではいわゆる「パッション」で投票が決まってしまうことも多々あり、これが必ずしも共感や信頼に基づくかといわれるとそうでもない気がする。
おわりに、にも書いてあったが意思決定モデルとして検証が必要。

あと英語のアブストラクト、ちゃんと翻訳できるようになりたい。