自動雀卓の配牌には偏りが存在する!?【論文紹介-番外編2】マルチエージェント・シミュレーションを用いた全自動麻雀卓の撹拌手法に関するモデル化(2017)
こんにちは。
ちいたべあです。
最近、大学生の嗜み、麻雀にハマっています。
大学近くに安い雀荘があり、春休みになってから入り浸ることもしばしば・・・。
初めて全自動麻雀卓で遊んだときには、手積みと比較した時のゲーム進行の速さや便利さにびっくりしました。
今回は論文紹介ブログ番外編その2として、そんな自動雀卓に関する論文を紹介したいと思います。
(番外編その1はこちらから)
chitabea.hateblo.jp
今日の論文
マルチエージェント・シミュレーションを用いた全自動麻雀卓の撹拌手法に関するモデル化
- ゲームプログラミングワークショップ2017論文集 p.171 - 176
- 井手広康、奥田隆史
抄録
全自動麻雀卓は“牌をかき混ぜて牌山に積み上げる動作”を自動で行う麻雀卓のことを指す.全自動麻雀卓の撹拌手法には一定の規則性があるため,これが要因となって牌に偏りが生じている可能性があると考えられる.そこで本研究では,マルチエージェント・シミュレーションを用いた全自動麻雀卓における撹拌手法のモデル化について提案し,牌の撹拌率について分析を行った.シミュレーションの結果から,全自動麻雀卓の撹拌手法によって少なからず牌に偏りが発生していることがわかった.また本シミュレーションによる撹拌手法のモデルでは,全自動麻雀卓のドラムに空回転を加えることによって撹拌率は改善され,3回転以上の空回転を加えたとき十分に牌全体が撹拌するという結果が得られた.
感想
科学的には根拠が無いとされながらも、プレイヤーがよく口にする「流れ」。
もし「流れ」が存在するとしたら、自動雀卓による配牌に偏りがあるからではないか?という仮説から始まるこの論文。
非科学的なものに対して科学的な説明をしようとするスタンスがめっちゃ面白いと思いました。
自動雀卓内部の牌の撹拌方法を何種類かに分類してコンピュータ上でシミュレーションをおこない、その撹拌率を分析した結果、撹拌方法によってはツモ山の一部に偏りが生じることが分かったとのこと。この偏りが各家のツモに影響を与え「流れ」が存在しているようにみえる、といえるかも知れません。
なお、2018年にはこのシミュレーションモデルを雀卓実機と比較する検証もされていました。(残念ながら有料公開)
ipsj.ixsq.nii.ac.jp
おわりに
麻雀を題材とした研究としては、点数計算をカメラによる画像認識で簡単にできるようにするためのものや、完全情報ゲームと非完全情報ゲームの違いについて取り上げたものなどもあり、けっこう楽しそうです。
また面白い論文を見つけたら、紹介していこうと思います。